2011年10月11日火曜日

【クイズ】 ある男の死

ホテルの一室で、壮年の男が死んでいるのが発見された。
検死の結果、傘の先端のような尖ったもので胸を刺され、大動脈の損傷によって失血死したことが判明したが、室内に凶器らしきものが見当たらなかったため、警察は他殺の可能性が高いと判断して捜査を開始した。

部屋のドアはオートロックであり、また室内に争ったような形跡もないことから、顔見知りの犯行であることが考えられた。
男の交友関係が調べられ、ホテル内や最寄駅の防犯カメラの画像も利用して捜査が行われたが、有力な情報は得られず、捜査は暗礁に乗り上げた。
そこで、ある刑事が知り合いの名探偵を訪ねて相談することにした。

「……事件のあらましはこんな感じだ。それにしてもまいっちゃったよ。交友関係といっても仕事の付き合いくらいで怨恨の線はなさそうだし、博打にのめりこんで億単位の生命保険が掛けられているってわけでもない。堅い仕事なうえに、酒もタバコも女も無縁。正直なところ、全く犯人の見当がつかないんだ。それにしてもホトケさんも気の毒に。少し前に、末期の肝がんで余命1~2カ月と宣告されたばかりだったそうなんだ。ようやくショックから少し立ち直って、奥さんと『残り少ない人生を家族で一緒に過ごそう』なんて話をしていたそうなんだけど、その矢先にこの事件だよ。なんでこんな悪いことが重なっちまうのかね」

いくつもの難事件を軽々と解決してきた名探偵だったが、刑事の話を聞き終えるとなぜかすぐにこう答えた。

「確かに気の毒な人だ。……何よりも気の毒なのは、この私をしても犯人の見当がまったく付かないことだよ。残念ながら、この事件はお手上げだ」


【問題】

この事件の真相を推理してください。
ただし、刑事や名探偵は犯人ではありません。