2017年3月29日水曜日

村上春樹作品における小便シーンの研究6

騎士団長殺し」新潮社 第2部 遷ろうメタファー編 pp.390-391

 いずれにせよ、寒さは前より痛切になっていた。そして尿意も感じるようになった。我慢できないほどの尿意だ。しかたなく、私は穴の隅に行って地面に放尿した。長い放尿だったが、尿はすぐに地面に吸収されていった。微かなアンモニアの匂いがしたが、それもすぐに消えてしまった。そして尿意が解消してしまうと、そのあとをすぐに空腹感が埋めた。私の身体はゆっくりと、しかし着実に現実の世界に適合しつつあるようだった。あのメタファーの川で飲んだ水の作用が、身体から抜け落ちつつあるのかもしれない。


これまで村上春樹作品ではありえなかった○○の存在が話題な「騎士団長殺し」ですが、小便シーン研究家の僕に言わせれば、村上作品のタブーを破り、初めて「私」がトイレ以外の場所(「井戸」ならぬ「穴の底」)で小便をしたという事実が衝撃的。

私のトイレはここからどこに進んでいこうとしているのか?

2017年3月25日土曜日

2017年4月のコミックス

  • 10日 - 海街diary(8)
  • 14日 - おさな妻の星(2)