お互いに「遠くまで、来ちゃいましたね・・・」そう言いながら目と目をあわせ、少し笑って。そして、今自分が立っている足元を見つめ、振り返り「あの頃」のもう一人の自分を懐かしく見つめる。
―― 木村千歌 「マイニチ」
最近のネットトレンドは「まとめ」らしいですが、カスタムIEMを海外メーカーに直接発注した体験談についてまとめられた記事はあまりないみたい。
twitterとか2chとか見てると、買っている人がわんさかいそうなので意外です。
老舗のFitEarさんに加えて、リーズナブルな価格展開のcanal worksさんが立ち上がったので、海外との取引までやる人は今後少なくなると思いますが、せっかく面白い経験ができたので記録を残しておこうと思います。
以下、自己紹介を兼ねて僕のイヤホン遍歴。
- iPod Miniの付属品 (2005)
- SONY MDR-EX71SL (2005)
- SHURE E4c (2006)
- Ultimate Ears Triple.fi 10 Pro (2008)
カナル型が一般的になり、ハイエンド市場が広がった2005年以降の潮流にそのまま乗っている感じです。(^^;
このように、ミドルレンジから次第にハイエンド製品に手を出し、次々とイヤホンを買い求めてしまうことをイヤホンスパイラルと言いますが、僕は10 Proの満足度が非常に高かったし、たま~に店頭で他の機種を試聴してもピンと来るものがなかったので、Ultimate Earsの新ハイエンド製品でも発売されない限り、もうイヤホンを買い換えることはないだろうと思っていました。
が、しかし
。
10 Proのケーブルのステレオミニプラグの根元が断線した(旧型のストレートタイプは根元が断線しやすい)のでケーブルを交換しようとしたところ、イヤホン側のコネクタが固着していて外れず、やむを得ずラジオペンチで引っ張ったらコネクタの部品ごと外れてこんな有様になってしまったのです。orz
仕方なくLogicoolのサポートに電話してみたのですが、こちらのページに書かれている通り「ケーブル交換時の破損は保証対象外」で、全損時の優待価格で買い替えるしかないとのこと。
「単なる買い替えじゃつまらないよなぁ~」と思いつつ、Ultimate Earsの新モデルでも出ないかとWebサイトを見に行ったのが運の尽きでした(笑)。
カスタムIEMの存在は以前から知っていましたが、手を出すつもりは全くなかったんですけどねぇ~。
■ 4月8日
カスタムIEM購入を決心し、須山補聴器の銀座店へ耳型(インプレッション)採取の予約のためTEL。
翌9日は予約がいっぱいだったので、翌週の16日で予約をお願いしました。
カスタムIEMは須山さんのFitEarという選択肢もありましたが、10 Proの音が好みだったことと、「海外に直接発注」というのが面白そうだったので、今回はUltimate Earsに注文することにして耳型の採取だけをお願いしました。
でも、FitEarは日本の数多くのアーティストを顧客に持つ老舗ブランドなので、実は僕も結構気になっています。
そのうち試聴して気に入ったらオーダーしちゃうかもしれません(笑)。
■ 4月9日
Ultimate EarsのオンラインストアからUE 18を注文。
Music TO GO! さんのインプレッションを見てカッコよかった titanium plate をオーダーしたかったのですが、オンラインではシェルカラーのオーダーしかできないのでとりあえず grey(translucent) にしておきました。
コードの色は、酸化して汚くなるのが嫌なので black の 48inch を選択。
このあと配送先やクレジットカード番号を入力して注文確定となりますが、カードの決済はこの時点ですぐに行われるようです。
為替レートを意識して注文しようと考えている方はご注意を。
この頃は、3・11を境に円が急騰したあと80円台半ばまで戻ったタイミングだったため、やや円安で決済となってしまいちょっと残念でした。
(タイミングの良し悪しは、後になってみなければわからないんですけどね)
注文が確定すると、UEから「耳型を採取して送れ」というメールが届きます。
思わず僕は、このメールに titanium plate のオプションを希望する旨を返信してしまったのですが、オプションや交換パーツ等の追加注文窓口は別のメールアドレスになっているのでご注意を。
■ 4月12日~16日
titanium plate オプションについてUEのDavidとメールで打ち合わせ。
英語力は全くない僕ですが、凝った装飾をするわけではないので何とか意思を伝えることはできました。
結局、
- titanium plate with ue silver logo - $100
- spare cable - $40
をオーダーすることに。
Davidが「オプション費用を決済するためのクレジットカード番号をメールか電話で伝えてくれ」というので、テキストファイルに保存したカード情報をパスワード付きzipファイルにしたものを添付して送り、別メールでパスワードを送付する方法をとりました。
ちなみに、このとき使用するカードは、本体を発注した時に使ったカードとは別でも構わないそうです。
僕は万一カード番号が漏えいしても被害(基本的には不正利用はカード会社が保障してくれると思いますが、カード再発行になるとあちこちに登録している番号を変更する手続きが面倒)が少ないように、普段は使用していないサブのカードを使いましたが、特に問題は発生しませんでした。
■ 4月16日
須山補聴器の銀座店にお邪魔して耳型採取にチャレンジ。
病院みたいなところを想像していたのですが、入口をはいると1Q84の「柳屋敷の老婦人」のようなマダムが出迎えてくれてびっくりしました。
補聴器の相談に来る客層を考慮しているんですね、きっと。
6階に通され、問診票と同意書にサイン。
耳の中を軽くチェックしていよいよ耳型の採取開始です。
耳型を採るとき、口を開けるかどうか希望があるか聞かれましたが、僕はよく分からなかったので「一般的な方法で」ということで、軽く口を開けた状態での採取をお願いしました。
(Ultimate Earsのドキュメントでは、「1インチのブロックを噛んで採取する」となっています)
耳の奥(耳かきができるギリギリのあたり)にストッパーとなる小さなスポンジを詰めてからシリコンを流し込み、固まるまで5分程度待って出来上がり。
これを左右の耳それぞれで行います。
両方同時にやれば時間短縮できるような気がしますが、たぶん何かトラブルがあった時に両耳がふさがっていると危険だとか、何かしら理由があって方耳ずつやるのでしょう。
所要時間はトータルで30分程度で、料金は消費税込\5,250です。
■ 4月18日~25日
4月18日に、郵便局からEMSで耳型を発送。
「内容品の詳細な記載」の欄は、よく分からないので適当に "Ear impression (silicone)" で 100g・5000JPY、「身のまわり品」 としました。
EMSのカリフォルニアまでの送料は\1,500です(安っ!)。
料金は安いですが、発送した翌日にはちゃんと太平洋を渡ってロスアンゼルスに到着。
そこで通関検査に2日半ほど足止めされ、UEへ届いたのは週末を挟んで翌週の月曜日(4月25日)でした。
■ 4月27日~29日
最初はblackでオーダーしたケーブルですが、本体色に合わせてclearに変更したくなったので27日にDavidへメール。
29日にオーダー変更了解の旨と、受け取った耳型で問題ない旨のメールが届きました。
日本はGWですが、アメリカは関係ないので休み中に製作が進むことを祈って待ちます。
■ 5月4日~5日
5月4日に
"We have received your ear impressions and our studio has begun the process of handcrafting your personal earphones."
というメールが届き、翌5日には
"We are excited to let you know that your Ultimate Ears Custom Monitors are ready to ship!"
というメールが届きました。
おいおい、1日で製作がおわったんかいな。(^^;
UEから自動で届くトラッキング情報はリアルタイムではないので、参考程度に。
■ 5月4日~7日
FedExからトラッキングナンバーが届き、5月4日に発送、5月6日に到着予定とのこと。
「いくら送料$70のInternational Priority扱いとはいえ早過ぎじゃない!?」と疑っていたのですが、ちゃんと6日の昼過ぎには配達されていました(仕事だったので受け取れませんでしたが)。
速さだけでなく、トラッキングもリアルタイムで詳細だしFedExの配送網すごいですね。
国内の配送代行は日通航空でしたが、FedExのカスタマーサポートを通してお願いしたら、本来は配達時間帯指定ができないところを、「土曜日のできれば午前中に」という形でリクエストを受けて、朝イチに配達してくれました。感謝!
外箱はブラックで統一されたシックな外観。
Webで見たことのある箱とデザインが違うので、どこかのタイミングで仕様変更があったみたいです。
ハードケースの中身はこんな感じ。
以前は10 Proと同じデザインの小さなハードケースも付属していたようですが、今は付属しなくなったようですね。
■ その後
すっかり忘れていたのですが、輸入品には関税がかかります。
invoiceを元にFedExから振込用紙が送られてきて、コンビニや金融機関で振り込む仕組み。
今回の請求額は\3,300でした。
請求額と税率から計算すると製品価格が??ですが、まぁ深くは追求しないということで(笑)。
そんなわけで、人生初のカスタムIEMを手に入れました!
長くなったので、後日談やインプレッションについてはまた後ほど
。