2006年3月19日日曜日

北の国へ '06 ~雪解け~ 【第一夜】

僕は二十九歳で、そしてあと六ヶ月で僕の二十代は幕を閉じようとしていた。何もない、まるで何もない十年間だ。僕の手に入れたものの全ては無価値で、僕の成し遂げたものの全ては無意味だった。僕がそこから得たものは退屈さだけだった。
最初に何があったのか、今ではもう忘れてしまった。しかしそこにはたしかに何かがあったのだ。僕の心を揺らせ、僕の心を通して他人の心を揺らせる何かがあったのだ。結局のところ全ては失われてしまった。失われるべくして失われたのだ。それ以外に、全てを手放す以外に、ぼくにどんなやりようがあっただろう?

―― 村上春樹 「羊をめぐる冒険」


ぼんやりとした闇の中で目が覚めた。
かすかな雨の音。
薄手のカーテンを通して、奇妙な質感を持った光が室内をわずかに浮かび上がらせている。
厚い雨雲のために全てが色褪せ、早朝と夕方を区別できない種類の闇だ。
憂鬱な気分で枕元の時計を引き寄せ、文字盤に目を凝らす。
……思わず自嘲交じりの溜息が漏れた。

帰省のためあらかじめ用意していた、早朝の電車を利用した割安な新幹線チケット。
東京駅の発車時刻は6時54分。

――現在時刻、6時20分。

○| ̄|_


普通の新幹線指定席ならば乗り遅れても後発列車の自由席に乗れるけど、今回用意したチケットは割安なだけに乗り遅れるとアウト。
結局、泣く泣くもう一度乗車券を購入するハメになりました……。(-_-;


そんなこんなで初っ端からダメダメな今回の帰省ですが、その目的も

元カノとヨリを戻すツアー

ということで、かなりショボめ。
自分でも 「この3年間は一体何だったんだ」 と思いますが、なんつーか、人生って思うように行かないもんなんですね……。トホホ。(-_-;


一緒に寝坊帰省した元カノといったん別れ、一人実家へ。
帰省するという電話をした時点で両親も察していたようで、話はとてもスムーズでした。
ある種の純潔さと同様に、親と子の関係にも若いうちに失われるべきものがある。
親元から大学に通っていたこともあり、その喪失を先送りにしてしまったことが僕と両親との間の一番の悲劇だったのだと思います。


そんなわけで、親子の和解に向けた第一歩を踏み出した後は、3年ぶりに彼女を実家に迎えての夕食会を開催。
和気藹々とまでは行かないまでも、穏やかに再会の夕べは終了……のはずが!


急転直下の二日目に続く(笑)。

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