2010年7月27日火曜日

アーサー王と円卓の騎士

アーサー王、円卓の騎士、聖杯伝説。。。
ファンタジー好きならなんとなく知ってはいるけれど、原典を読んだことはない人も多いのではないでしょうか。

アーサー王の物語は、実在した(と考えられている)人物をモデルとして発生し、世代を超えて語り継がれるにつれて様々なエピソードが付加されて出来上がったもので、実は「原典」というものは存在しません。
現在は、トマス・マロリーという人が15世紀後半にアーサー王にまつわる物語をまとめたキャクストン版と呼ばれるものを底本として、様々な作家がリライトを加えたオリジナルのアーサー王物語が出版されています。

今回、ふとしたことがきっかけでアーサー王物語に興味がわいたので、それらの本を読んでみることにしました。
キャクストン版の完訳も筑摩書房から出ていますが、今回はより手軽に読めて定評のあるサトクリフ版全三部を選びました。

arthur.jpg

実際に読んでみると、物語として面白いのはもとより、良く知っているつもりのエピソードを実は誤解していたり、と新しい気づきがあって楽しかったです。
たとえば、みなさん「アーサー王と円卓の騎士」の「円卓」ってどれくらいの大きさだと思っていましたか?
本によって違いはあるみたいですが、サトクリフ版によると「150人の騎士が座れる」ほど巨大なテーブルなんだそうです。
「円卓の騎士」ってせいぜい10人くらいかと思っていた僕にはカルチャーショックでした。

人物として面白かったのは、やはり円卓の騎士の長、「最高の騎士」と呼ばれるランスロットです。
優れた騎士たちが集まった円卓の騎士の中でもトップの力を持つ彼。
しかし、その生涯は絵にかいたようなヒーローではありません。
騎士としての忠誠心と愛する人への想いに挟まれ、悩み、苦しみ、神に背かれ、そして最後には破滅への引き金を引いてしまう。。。
アーサー王の物語は、そんなランスロットのあまりにも人間臭い生きざまを描いた物語でもあるのです。

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